紫式部の名作である「源氏物語」ですが、この作品の大部分が、「西暦1008年の成立」とされていますので、今年2008年で、成立から1000年を迎えることになります。
「源氏物語」は、作り物語や歌物語の流れを受け継ぎ、さらに和歌や日記をも吸収して、見事なまでの作品になりました。
紫式部は、ある意味、現世ではありえないとも言えるほどの理想的な人物である「光源氏」を軸として、普通の人では経験できないほどの「栄華」と、そして「憂い」をこの虚構の世界に構築させました。
この物語は、人の心の普遍的な真実を見事に描いているとも言われています。
「源氏物語」の成立によって、物語文学の質は、いわば飛躍的に高質なものとなったといえるでしょう。
「PHP 2月号」に、瀬戸内寂聴さんの「源氏物語」についてのインタビューが掲載されています。
瀬戸内さんは、「源氏物語」が今日まで読み継がれてきた魅力について、「小説としての面白さにつきます」と話されていました。
まさにその通りであって、「面白い」という意味には、あらゆる文学的な要素を含んでいるのだと思いますが、「PHP」の中でも、瀬戸内さんのおっしゃっているように、「いつの時代であっても変わらない恋愛や人生の苦悩が真正面から描かれ、恋愛のテクニックから人間の性(さが)や、人生の哀歓までが詰まっています。読む人の年齢や経験によってその味わい方は異なってきます」ということが、「源氏物語」の尽きせぬ魅力なのでしょう。
「源氏物語」は、「作り物語に見られる虚構性・空想性」と、「歌物語に見られる叙情性」と、「日記文学に見られる自照性」の集大成と言われています。
登場人物は実に400人以上にのぼります。帝は4代70年以上の期間にわたり、内容の展開も豊かであり、日本古典文学の最高傑作といわれています。
江戸時代には、国学者である本居宣長が「源氏物語」の本質を「もののあはれ」と評しました。
後世に与えた影響も大きく、現代においても、「現代語訳」や「源氏絵」、「あさきゆめみし」などの漫画など、特に戦後から現代にかけては、さらに多くの読者層に享受される作品となっていることは、周知の通りです。
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